現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 将棋
  4. 名人戦・順位戦
  5. 記事

羽生「最強」時代、再び 執念で永世名人に

2008年6月17日22時28分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 このエントリをYahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真記者会見で笑顔を見せる羽生善治新名人=山形県天童市の天童ホテルで、佐藤圭司撮影

 初の名人位から14年。実績でも技術でも人気でも将棋界を牽引(けんいん)してきた羽生善治二冠(37)が、ついに「永世名人」に名を刻んだ。森内俊之名人(37)に挑んだ第66期将棋名人戦七番勝負。互いに認め合う同世代のライバル対決を4勝2敗で制し、最強「羽生世代」の旗手が、再び戦国将棋界の統一に乗り出した。(丸山玄則)

 「名人戦は出るまでが本当に大変。瞬間的ではなく、長い道のりのプロセスなんだと痛感しました」。激闘を終えて約1時間後の記者会見。新名人は晴れやかな表情でシリーズを振り返った。

 7大タイトル独占など圧倒的な実績を残し、「永世名人」も時間の問題と思われていた羽生新名人。十七世名人資格者の谷川浩司九段(46)が「永世名人の中に羽生さんの名前があるべきで、私もなってほしい」と話す。ファンも待ち望んでいたが、「永世」への道は生やさしくはなかった。足踏みが続く。

 94年に初めて名人位に就いて以降、名人位は谷川、佐藤康光・現二冠(38)、丸山忠久・現九段(37)、森内と入れ替わった。挑戦権を争うA級順位戦も谷川、佐藤ら強豪10人がひしめき、勝ち抜いて七番勝負に登場できたのは3年ぶり。渡辺明竜王(24)を筆頭とする若手の追い上げもあり、今は7大タイトルを5人で分け合う戦国期(名人戦開幕時)だ。

 「また来年出られる保証はない。今回のチャンスは生かしたいと思っていました」。だからか。七冠制覇以降は「勝負よりも内容重視」に見えた羽生新名人が、名人位奪還への意欲をみなぎらせた。森内名人の完璧(かんぺき)な指し回しに負けてもおかしくない形勢に追い込まれた第3局が傑出していた。粘りに粘って名人戦史上に残る大逆転。ライバルの一人である深浦康市王位(36)に「『永世名人』という明確な目標を前に、眠っていた勝負熱が復活した」と言わしめた。

 注目のライバル対決になった今シリーズは、将棋ファンならずとも勝敗の行方に関心を呼んだに違いない。朝日新聞東京本社や東京・千駄ケ谷の将棋会館などで開かれた大盤解説会は局を重ねるごとに盛り上がった。朝日新聞の会場は今局、立ち見を含め、第1局の3倍近い約270人で沸いた。

 第62、第63期で2度にわたって「羽生永世」の夢を砕いた森内名人は昨年、羽生新名人を追い越して十八世名人の資格を得た。今期もカド番の第5局で圧勝して最後まで苦しめた。

 羽生新名人は今、名人戦と並行して四冠目をかけた棋聖戦五番勝負を同世代の佐藤二冠に挑んでいる。今秋の竜王戦七番勝負に挑戦する可能性も残しており、最後に残した永世称号「永世竜王」も視野に入れる。羽生新名人とタイトル戦成績5勝6敗の森内名人だけでなく、将棋界は幾重にも重なるライバル対決で目が離せない。

 「ほっと一息つきましたが、重要な対局が迫っています。瞬間、瞬間を次の目標にしていきたい」

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内