2008年7月18日
正午を告げる「午砲」
正午きっかり、1発の空砲が放たれた。ビクトリア港のヨットハーバー。ズドーンとおなかに響く音だ。
「午炮」(ヌーンデイ・ガン)と呼ばれる。昔アヘン取引でもうけた英国系のジャーディン・マセソン商会が続ける香港名物の一つだ。19世紀半ば、同社が港に出入りする船に礼砲を放っていた。ところが英国海軍の高官がこの音に仰天。同社の説明では「罰として、毎日正午の時を告げる空砲を放つようになった」。
濃紺の制服を着て大砲を撃つのはトウ(登におおざと)華恩さん(74)。37年前から担当している。「雨の日も風の日も続けてきた。やっぱりこの音はいい」。同社を退職して10年以上たつが、今も月2回、砲台に立つ。
会社の歴史といい、英国植民地時代の色彩が強いため、香港が中国に返還される際には継続が危ぶまれた。でも、今日も正午にズドーンが響く。(文と写真・奥寺淳)