< 第33期名人戦挑戦者決定リーグ戦第27局 観戦記 >
坂井秀至 七段
対
山田規三生 九段
2008年7月18日
|
3月の第4ラウンドで全勝者が消え、第5ラウンドでは井山裕太だけが1敗を守った。2敗者はその時点で6人。まさに大混戦だ。トップをいく井山も序列最下位のため、一つ星を落とせば挑戦権争いからはじき飛ばされる可能性もあった。
ところが、井山は順調に白星を重ねた。この間、追いかける2敗者は星のつぶしあいを演じ、残ったのは両対局者と趙治勲の3人。趙は同日、東京で井山と対戦。今期名人戦リーグのまさに急所だ。
山田の拠点、関西総本部での対局。交通機関の乱れで山田が5分の遅刻。「3倍引き」の15分がペナルティーとして科せられた。
手堅い棋風と見られていた坂井は、すっかりイメージを変えた。あらかじめ先後が決まっているリーグ戦だからかもしれないが、序盤から様々な趣向を見せてくれる。この碁では左上で大ナダレ定石を誘い、白が10と回避すれば黒13と中国流もどきに構える。三線ではなく、四線と高いのも目新しいか。
山田は、遅刻した慌ただしい朝の逆をいくように、白14とゆったりと構える。このときはまさか、急戦に引きずり込まれるとは思っていなかっただろう。
黒17といきなり坂井は仕掛けた。白19ならA、もしくはBの予定。狙いは上辺の模様化だ。山田は白18と反発。だが黒19とクサビを打ち込まれた形が生々しい。
(松浦孝仁)