< 第33期名人戦挑戦者決定リーグ戦第25局 観戦記 >
陳嘉鋭 九段
対
依田紀基 九段
2008年7月4日
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リーグ落ちがほぼ決まっている陳嘉鋭と、残留だけが目標の依田紀基。いま風のことばでいうとモチベーションが低そうだが、こんな碁に限って燃えるのが勝負師である。今期リーグ屈指の熱闘がくり広げられたと、最初に書いておこう。解説を担当する宮沢吾朗九段にはちょっとした思い出があった。
27年前の81年、宮沢は日中囲碁交流団(団長は橋本昌二九段)の一員に選ばれ、中国各地を訪れた。そこで知り合ったのが中国選手の陳嘉鋭である。陳はその後、中国囲棋協会を離れ、返還前の香港に移って世界アマチュア選手権の代表となり、アマ世界一の座についた。そしていま、陳は関西棋院になくてはならぬ棋士だ。
話は変わって、27年前の訪中団に通訳としてつきそい、親切に世話を焼いてくれる中国青年がいた。20年近くたって、宮沢はテレビを見て驚いた。日本、中国、韓国、ロシア、北朝鮮、米国による6者協議の中国代表が、かつての青年なのである。その名は王毅さん。王毅さんは駐日大使を経て、現在は閣僚級のポストに就いた。「世の中、狭いものですね」と宮沢はいう。
さて盤上。黒5、7の独特の陣に注目していただこう。「初めて見ました。人まねでない陳さんの序盤はいつも面白い」と、解説者は大喜びである。初めてといえば黒23もそうだった。
(春秋子)