一般的な生命保険は、保障のベースとなる「主契約」と、それに付加して必要な保障を充実させる「特約」から成っています。死亡保障を主契約とする生命保険では、保険証券の主契約欄に、死亡時または高度障害時に支払われる保険金額と、前回説明した「終身」「定期」などの保険期間(いつまで保険が続くのか)が記載されています。保険証券によっては、主契約と特約の内容が列記されているものと、別の項目として分けて書かれているものがありますので、見落とさずにチェックしましょう。
| ●今回のポイント ライフステージと共に変わる必要な死亡保障額 「必ず」と「できれば」を分けて考えるのも大切 |
月々の保険料を抑えたいというかたが増えている最近は、終身保険で多額な死亡保障を確保するケースは少なくなり、主契約に定期保険に選ぶ人や、定期付終身保険に加入される場合は特約の定期保険で手厚い保障をまかなう人が増える傾向にあります。また、主契約の医療保険に死亡保障を特約として付けるケースなど、ご自分が亡くなった場合への備え方は多様化していますが、ここではすでに生命保険を契約されていて、そろそろ見直しを考えられている世代が多く加入されているであろう定期付終身保険の例を中心に説明します。
必要な保険金額は子供が生まれたり、賃貸から持ち家に移るなど、ライフステージの変化と共に変わってきます。主契約の保険金額を長い人生における死亡保障のベースとしながら、特約部分の死亡保障を含めた全体の保障額で、必要と考える保障を確保します。必要な保険金額は、今ご自分が亡くなった場合に遺された家族が必要となるお金をまず算出し、そこから死亡時の収入の見込み額と貯蓄額を差し引いた金額が目安になります。遺された家族が必要なお金とは、生活費や住宅費、子供がいる場合はその教育費などです。貯蓄でカバーできない大きな保障を持てるのが生命保険とはいえ、保障を厚くすれば、当然保険料もかさみます。将来の生活にかかるお金のどこまでを保険で備えるか、ご夫婦で話し合い、家族の方針をもつことが大切です。
例えば、子供を私立に通わせたいといっても、非常に強く希望されているかたと、「場合によっては公立でもいい」というかたがいらっしゃいます。住宅費に関しても、「夫に万一のことがあれば、今より家賃の低い住まいに引っ越してもいい」「いざとなったら実家で暮らす」など、譲歩の余地もあるでしょう。「必ず」と「できれば」に備えを分けて考え、保険料と保障額のバランスをとって、保険料が家計の負担になり過ぎないようしてください。
死亡保障額は、常に現時点で必要な額で備える
死亡後の収入とは、遺族年金などの公的な保障と、サラリーマンであれば死亡退職金や慰労金、遺された配偶者が働く場合の収入などを加えます。サラリーマンのかたは、末子の高校卒業(18歳年度末)まで支給される遺族基礎年金に加えて、再婚しない限り一生涯受け取れる遺族厚生年金が支給されます(子どもがいない30歳未満の妻は遺族厚生年金が5年間で打ち切り)。さらに、夫が亡くなった時点、または末子の高校卒業時点で妻が40歳以上であれば、65歳なるまで中高齢寡婦加算がプラスされます(ただし、遺族基礎年金を受給している間は支給されません)。
一方、自営業の場合、遺族への公的な保障は末子が高校を卒業するまで遺族基礎年金がもらえるだけです。このように会社員または公務員か、自営業かといった加入している年金制度の違いや、夫が亡くなった後に妻が働けるかどうかでも死亡保障額の目安は大きく変わってきます。
(ここでは、一家の大黒柱が夫という仮定を置いて年金制度の説明をしています。妻が家計を支えているケースで、その妻が亡くなった場合は事情が変わってきます)
死亡保障というのは、今現在の状況において、万一のことがあった時に生活を守り、支えるものでなくてはなりません。子供が生まれれば契約時の保障額では足りなくなるかもしれませんし、子供たちが社会に出た後は、一般的には大きな保障必要なくなっていくものです。このように、それぞれのご家族のライフステージにおける必要保障額を把握した上で、保険で備えたいのは一定期間だけなのか、それとも終身なのか、どれだけ保障が必要なのかを貯蓄の状況と合わせて見ていくことが大切です。
保険金額が年々減っていく「逓減定期保険」と「収入保障保険」
自分で保険金額を見直すのは面倒だという方は、保険金額が段階的に減っていく「逓減定期保険」や「収入保障保険」を選ばれるのもひとつの選択肢です。万一の時に、逓減定期保険は一時金で受取るのに対して、収入保障保険は年金形式で毎年一定金額を受取り、受取る年数が減っていくタイプです。いずれも、契約時の保険金額が契約満了時まで変わらない一般的な定期保険(平準定期保険)に比べて保険料を低く抑えられ、お金のかかる子育て時期に大きな保障額を確保することなどができるのがメリット。商品内容は保険会社によって異なりますが、主契約で契約できる商品と、主契約の生命保険に特約として付加できる商品があります。
| ▽せめてここだけはチェック 主契約と特約それぞれの死亡保障の保険金額と保険期間を確認しましょう ライフステージの変化に応じて、必要な死亡保障額を見直すようにしましょう |

田辺南香(たなべ・みか)さん
ファイナンシャルプランナー。上智大学理工学部卒業後、(株)リクルートに入社。数々の情報誌の社内ITコンサルタントとして活躍後、退職。現在、心豊かな生活を実現するお金のコンシェルジュとして、資産運用、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆、セミナー講師などを中心に活動中。株式会社プラチナ・コンシェルジュ所属。
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