訪問介護最大手のコムスンから、在宅系サービスを譲渡された15法人のうち6法人の計21カ所の事業所が今年4月末までに廃止、または休止していたことが、朝日新聞社の調べでわかった。全事業を継続して運営するという譲渡条件の順守は危うい状況だ。介護職員が足りなくなったことが主な理由だった。
コムスンは昨年6月、厚生労働省から事業所の新規指定や更新を認めない行政処分を受けた。同社の第三者委員会が、応募があった事業者の実績や事業の継続性確保などを考慮して譲渡先を決定。15法人が47都道府県ごとに分割して、訪問介護やデイサービスなどを引き継いだ。今年6月のアンケートでは、譲渡時に計722カ所あった事業所は4月末までに19カ所が廃止、2カ所が休止され、継続しているのは701カ所だった。
13都道県の事業所を引き継いだジャパンケアサービス(東京)は北海道、東京、福井などで計7カ所を廃止、福島で1カ所を休止した。千葉県では、夜間の女性ヘルパー不足で、同性による介助を望む女性が24時間サービスを継続して受けられなくなり、別法人の事業所に移った例があった。同社の担当者は「看護師やケアマネジャーを募集しても集まらず、基準を満たせなかった。利用者は自社の事業所を含む近隣の事業所に引き継いでおり、サービス確保という譲渡条件は履行している」と話す。
14県の事業所を譲渡されたセントケア・ホールディング(東京)は静岡、佐賀、大分で計6カ所を廃止、1カ所を休止。「今後も経営の効率化のため統廃合の予定はある」という。
第三者委の委員長を務めた堀田力・さわやか福祉財団理事長は「譲渡時点ですでに若い人材は不足していた。事業所の廃止や休止は、客観的にみれば『全事業を継続して運営する』という譲渡条件を満たしていない。ただ、管理者として最大限努力していれば責められないのではないか」と話す。(森本美紀、阿久沢悦子)