「和歌三巻」のうち「わがやどを」(部分)
江戸後期を代表する歌人であり、書家としても知られる禅僧・良寛(1758〜1831)。生誕250周年の今年、記念のイベントが各地で行われている。中でも一番の見ものと言われるのが「良寛展」(富山県水墨美術館、27日まで)だ。終焉(しゅうえん)の地となった新潟県の木村家に伝わる遺墨など165点を展示する。
大作がそろう。和歌や手紙など77編を張り込んだ「貼(は)り交ぜ屏風(びょうぶ)」は交友もわかる貴重な品。「漢詩草書六曲屏風」は、奔放な草書の快作である。
最大の目玉は「和歌三巻」だろう。良寛自ら選んだ長歌や短歌など100余首をまとめた歌集で、「良寛かなの最高峰」と評される。木村家当主に受け継がれる秘蔵品だ。柔らかでとらわれない流れるような曲線。舞を舞うような文字が連綿と続く。
このほか「漢詩絹本三幅対」や、あっさりした筆致が魅力の「一切経寄進札」など。会場には良寛を描いた安田靫彦の絵画、愛用の碁盤や硯(すずり)なども並ぶ。
「人間的な魅力が表れている。すごく自然体」(浅地豊・水墨美術館学芸課長)と言われる良寛の書。楷書(かいしょ)など「上手(うま)い」とはお世辞にも言えないが、飾らない、とらわれない、素直な心根が透けて見える。拙なるがゆえの巧(うま)さとでも言ったらいいのか。
900円、22日休館。電話076・431・3719。(宮代栄一)