中嶋一貴
日本のドライバーのフル参戦1年目の成績
ドライバー部門順位
今季の前半を終えた自動車レースの最高峰F1シリーズで、中嶋一貴(ウィリアムズ・トヨタ)がフル参戦1年目ながら9戦中4回入賞を果たす健闘を見せている。父・悟が日本のドライバーとして初めてフル参戦してから21年。この間に活躍した日本勢をしのぐ勢いのF1デビューだ。
中嶋一貴は日本からは8人目のフル参戦ドライバー。開幕戦の豪州グランプリ(GP)でいきなり6位に入り、第4戦スペインGPで7位、第6戦モナコGPで7位と着実に入賞を重ねた。6日に決勝のあった第9戦英国GPでも8位に入った。
これまでに8点を獲得したが、今季5人いるフル参戦1年目のドライバーの中ではトップだ。02年以前は入賞が6位までだったなど得点の規定が違うため単純比較はできないが、日本のドライバーの1年目としてはすでに歴代最高といってもよさそうだ。
1年目は弱小チームで苦しむドライバーが多い。名門チームからデビューした中嶋は恵まれているといえる。
とはいえ、同僚と比べても健闘は光る。同じチームで正ドライバー3年目のロズベルクと獲得した得点は同じ。入賞回数であれば1回上回っている。1年目で同僚を上回る成績を残した日本のドライバーがいない中、称賛に値する戦いぶりだ。
■年間王者争いは混戦
今季のF1は大混戦だ。優勝3回ながら得点なしも3回というハミルトンとマッサに象徴されるように、上位陣に安定感が欠ける。
昨年しのぎを削ったフェラーリとマクラーレン・メルセデスの2強に今季はBMWザウバーが割って入った。第7戦カナダGPでクビツァが初優勝。混戦に拍車がかかった。
トヨタとホンダは前半戦で1回ずつ3位に入り、面目は施した。
トヨタは第7戦から第9戦まで3連続入賞。製造者部門で4位に浮上した。技術調整担当ディレクターの新居章年氏は「レース中にバタバタしてもポイントが取れている」と話す。
ホンダはここ2戦の予選で2台とも16位以下。英国GPでは決勝でバリケロが3位を獲得したが、雨の中でのタイヤ交換のタイミングがよかった成果だ。「うちはハード(車)で負けている」とチーム幹部に浮かれた様子はない。
後半戦は20日決勝のドイツGPで始まる。
■いい経験 期待以上 前半戦を振り返る
英国のオックスフォード近郊にあるチームの拠点で中嶋に話を聞いた。
――前半を振り返って。
「もう半分かという感じだが、内容は濃かった。獲得ポイント(得点)は期待していた以上。モナコと英国は雨絡みの難しいレースでしっかりポイントが取れた。いい経験ができている」
「F1はチームが描いた理想の走りとの戦いでもある。ロスタイムがはっきり出るところはシビア。逆にデータ解析が正確だから、試したことの良い悪いがすぐに出るのでやりがいがある」
――入賞4回のうち2回が雨だった。
「雨が得意というわけではないが、1時間半集中し、抑えるべきところは抑えるという走りがうまくできた。車の性能で後れを取っているところもあり、荒れたレースの方がチャンスは大きい」
――8点獲得は同僚のロズベルクと同じ。
「一番比較される対象はチームメート。チームへの貢献度はポイントに表れるから、同じ位置にいるのは自信になるし、満足度はある」
――父・悟さんの足あとを感じることは。
「父の写真を持ってきてくれるファンもいるので多少は感じるが、あまりないというのが正直なところ」
――悟さんの1年目は7点。数字は超えた。
「言われるまで知らなかった。比較は周りの人が楽しんでくれればいい。僕自身は父の実績に縛られることなくレースができているし、その方がいいと思う」
「父は以前から、僕のレースを見に来ても人目につかないようにしたりと気を使ってくれた。たまにはレースの話をするが、ほどほどの距離感を保ってやりやすい環境をつくってくれている」
――後半に向けて。
「一戦一戦できることを積み重ねていくしかない。日本GP(10月12日決勝)が開かれる富士スピードウェイはホームサーキット。いいレースにしたい」
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なかじま・かずき 85年1月、愛知県生まれ。96年にカートでレースを始め、02年にトヨタの若手育成プログラムの奨学生に。07年にウィリアムズ・トヨタの第3ドライバー。同年の最終戦ブラジルGPでF1デビューし、今季から2人いる正ドライバーの1人に昇格した。
(ロンドン=村上研志)